現代のリーダーシップ競争 勝利の条件
- 澤拓磨 TS&Co.代表取締役 兼 最高経営責任者(CEO)
- 4 日前
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更新日:2 日前
概要
CEOが約束した結果を出し続けるために鍵となるのが、リーダーシップ(導く力)。いつの時代も、好むと好まざるとにかかわらず、CEOはリーダーシップ競争への参戦を避けることはできない
現代のリーダーシップ競争とは、「開かれた世界を舞台に、世界に対し方向性を示しステークホルダーから選ばれ続けることで、約束したより高い結果へと導けるか否かを競い合うこと」
現代のリーダーシップ競争の特徴は、「グローバル超競争」、「正解無し・変化常態」、「総合力勝負」の3つ
現代のリーダーシップ競争における勝利の条件は、「一点突破 or 最大公約数」、「誰よりも早く動き出し先頭で拓く」、「自己管理能力」、「オフラインでの人間関係構築力」、「素早く実行し結果から学び最適解へ」の5つ
現代のリーダーシップ競争に勝利すべく、自らのリーダーシップを再考されてみては如何だろうか?
CEOが参戦する現代のリーダーシップ
CEOが、約束した結果を出し続けるために鍵となるのが、リーダーシップだ。
いつの時代も、好むと好まざるとにかかわらず、CEOはリーダーシップ競争への参戦を避けることはできない。
現代のリーダーシップ競争とは、「開かれた世界を舞台に、世界に対し方向性を示しステークホルダーから選ばれ続けることで、約束したより高い結果へと導けるか否かを競い合うこと」だ。
同時代でCEOが活用可能な経営資本は有限であり、リーダーシップ競争の勝者だけが、そうした経営資本を活用し約束したより高い結果を出し続けることができる。
現代のリーダーシップ競争には、以下のような特徴があるとTS&Co.は考えている。
グローバル超競争
2025年現在、テクノロジーの進化とそれに伴う情報関連サービスの同時多発的な増加等による情報取得コストの低下に伴い、人々(フォロワー)が取得可能な情報量が爆発的に増加し続けている。結果、人々は日本人リーダーだけにとどまらず地球中から魅力的なリーダーを相対評価しながら選ぶことができる。それに伴い、現代のリーダーシップ競争は、グローバル超競争の様相を呈している。
正解無し・変化常態
人々が取得可能な情報量が爆発的に増加し続けた結果、人々の志向性が多様化し(社会が分断し)、リーダーシップの正解を見出すことは難しくなっている。
同時に、取得可能な情報量の爆発的な増加は人々の志向性変化を促し、リーダーシップには変化の常態化が求められるようになった。
総合力勝負
現環境下では、方向性を示し、率先垂範で組織を動機づけしながら、結果を出し続けるといった旧来型のリーダーシップだけではステークホルダーから選ばれることは難しい。例えば、女性差別問題、パワーハラスメント問題、横領問題、不正会計問題、不適切広告問題、データ改ざん問題等、企業が顕在的・潜在的に抱える種々の倫理的・道徳的問題への対応が必要である等、リーダーシップにより総合力が求められるようになった。
こうした特徴がある現代のリーダーシップ競争だが、CEOはどうすれば競争に勝利できるだろうか?
次に、TS&Co.が考える現代のリーダーシップ競争における勝利の条件を紹介しよう。
現代のリーダーシップ競争における勝利の条件
CEOは現代のリーダーシップ競争にどうすれば勝利できるだろうか?その条件に対するTS&Co.の考えを述べたい。
一点突破 or 最大公約数
現環境下でリーダーシップ競争に勝利するには、特定ターゲットへのリーダーシップに集中しそれ以外の人々へのリーダーシップ発揮を捨てた「一点突破型リーダーシップ」、豊富な経営資本を持つことを前提に、複数の志向性から共通に取り出せる最大の類似点や対立する志向性の中から妥協可能な落としどころを発見し、当該類似点や落としどころに沿った方向性へ導く「最大公約数型リーダーシップ」のいずれかを選択すべきだ。現環境下、このいずれかでない中途半端なリーダーシップでは、現代のリーダーシップ競争に勝利する(顧客をはじめとするステークホルダーから選ばれ続ける)ことは難しいだろう。
尚、いずれかのリーダーシップを選択する際は、CEO自身にとってそれが持ち味やらしさ・ならではを十分に活かせるかの視点も忘れてはならない。でなければ、たとえ短期的に外部環境の追い風を受け素晴らしいリーダーシップを発揮し結果を出すことができたとしても、逆風下では自らのリーダーシップへの確信が揺らぐ等、中長期的に結果を出し続けることは難しい。
誰よりも早く動き出し先頭を走る
リーダーシップの正解を見出すことが難しい現環境下では、自ら既成事実(変化)を創ってしまった方が、リーダーポジションやパイオニアポジションを獲得しながら結果を最大化でき、世界全体に対する変化対応力も高まる。また、先頭を走ることで、自らの意志である程度変化をコントロールできる。
尚、フォロワーポジションでリーダーシップを発揮した方が、先行リーダーが先行投資を経て創出した顕在市場の享受や失敗事例からの学習を通じて、効率的に結果を出すことができるという考え方もある。しかしながら、この場合、先行リーダーに圧倒的な差をつけられ追いつくことが極めて難しくなるリスクや先行リーダー次第で自社の方向性を変えていかなければならないため変化がアンコントローラブルになりやすい。
以上の理由から、著者はリーダーポジションを好むが、読者の持ち味やらしさ・ならでは次第ではその限りではない。正解はないのだ。
自己管理能力
自己管理能力とは、世界観・自社観を前提にした企業としての生き方・生き様を体現し続ける力のことだ。魅力的な方向性を示す力は言わずもがな、例えば、感情の起伏を避け誰に対しても如何なる瞬間でも円滑なコミュニケーションができる力や倫理的・道徳的に優れた振る舞いができる力等も自己管理能力には含まれる。
昨今、政治家、経営者、有名スポーツ選手、芸能界の大御所等、領域を問わず社会においてリーダー的立場にある方々が、自己管理能力の欠如により次々と表舞台から姿を消している。自己管理能力は、現代のリーダーシップ競争において勝利するための必須条件と言えるだろう。
オフラインでの人間関係構築力
2025年現在、業界や規模等を問わず、SNS等の情報関連サービスの浸透やリモートワークの普及等に伴い、オンラインでコミュニケーションが完結される機会・職場が益々増加している。それに伴い、ミスコミュニケーションや人間関係の希薄化が頻出課題となった。
こうした環境下、ミスコミュニケーションや人間関係の希薄化を解消し相対的に高い組織的実行力を実現しうるオフラインでの人間関係構築力がリーダーシップ競争で勝利するための1つの条件となっている。やはり、オフラインで直接対話しながら構築された人間関係に勝るものはない。
当然、リモートワークが広くした職場がオフラインに回帰することは容易ではない。しかしながら、現環境は、オフラインでの人間関係構築力を発揮する絶好の機会である点、申し添えておきたい。
素早く実行し結果から学び最適解へ
現環境下では、リーダーシップの正解を見出すことは難しい。従って、方向性が定まったのであれば、素早く実行し結果から学び最適解へと方向性を適時修正していくことがベストなアプローチだ。
繰り返しになるが、いつの時代も、好むと好まざるとにかかわらず、CEOはリーダーシップ競争への参戦を避けることはできない。
現代のリーダーシップ競争に勝利すべく、自らのリーダーシップを再考されてみては如何だろうか?
著者
澤 拓磨(さわ たくま)
TS&Co.グループホールディングス株式会社 代表取締役 創業者CEO
TS&Co.株式会社 代表取締役
経営変革プロフェッショナル
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