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実行の再考

  • 澤拓磨 TS&Co.代表取締役 兼 最高経営責任者(CEO)
  • 4月7日
  • 読了時間: 6分

更新日:4月11日



概要

  • 昨今、地政学的リスクの高まりやSNSの進展、AIの社会実装加速を背景に、企業経営を取り巻く環境は益々変化のスピードを加速させており、実行不全企業と実行強者企業に二極化する傾向が強まっている

  • 現在の企業経営を取り巻く環境下は、実行不全企業に厳しく、実行強者企業に優しい。そうであるならば、実行強者企業へと舵を切ることが、CEOをはじめとするリーダーにとって得策だろう

  • 実行の真価は「結果を生む原因の本質」、「仮説検証機能」、「実行の結果が情動・衝動を生み更なる挑戦を動機づける機能」である

  • 実行強者企業となるための課題は、「現環境及び実行の真価に対する全社的な共通認識の醸成」、「実行重視型組織文化への変革を企図した企業理念及び人事制度変革」、「意志決定・モニタリング機能の変革」、「実行重視型リーダーの選抜と育成」、「CEOの率先垂範」であり、解決策を実行することで、実行強者企業へと進化できるとTS&Co.は考えている。




実行不全 vs 実行強者


昨今、地政学的リスクの高まりやSNSの進展、AIの社会実装加速を背景に、企業経営を取り巻く環境は益々変化のスピードを加速させている。かかる状況下、実行不全企業と実行強者企業に二極化する傾向が強まっている。

そして、実行不全企業が実行強者企業の動向を様子見しているうちに、実行強者企業は不確実な環境に適応する力を身につけ、次々と新たな挑戦を繰り返しながら現環境に最適化された経営資本を増大させている。


変化のスピードが速まれば速まる程、実行不全企業は実行強者企業と同一市場内で競争していく限り、劣勢を強いられることとなる。この構図は市場を変えたところで不変であり、実行不全企業でい続ければ、やがて解散・清算に至りうる。


事程左様に、現在の企業経営を取り巻く環境下は、実行不全企業に厳しく、実行強者企業に優しい。

そうであるならば、実行強者企業へと舵を切ることが、CEOをはじめとするリーダーにとって得策だろう。




実行の真価


ここで、実行強者企業へと舵を切るインセンティブをより具体的にイメージ頂くため、企業経営において実行とはどのような価値があるのか?改めてその真価を考察した。


結果を生む原因の本質

実行の真価として最も重要なのは、実行のみが結果を生む原因の本質的要素であることだ。

どんなに素晴らしいビジョンを掲げ、期待値の高い戦略を立案できても、実行が伴わなければ結果として世界に効果は具現化されない。


仮説検証機能

実行を通じてこれまで前提としていた仮説を検証し、正しければ現方向性をさらに推進、誤っていれば軌道修正する等の判断を下すことができる。

多くの場合、他者の力もお借りしながら思考しきった終着点として、実行し世界・市場と対話することでしか仮説を価値に変換する方法はないという結論に至る。その結論に至った時には、実行し仮説検証したいという好奇心が溢れ出てくる状態が理想だ。


実行の結果が情動・衝動を生み更なる挑戦を動機づける機能

実行すれば、過程を経験でき結果を得られる。そして、たとえ得られた結果が、良い結果であろうと悪い結果であろうと実行者である我々人間は、過程・結果から多くの情動・衝動を感じ取る。

例えば、良い結果を得ることで強烈な達成感や満足感を体感することができれば、更なる挑戦へ強烈に動機づけられ再挑戦したくなり、再実行しさらに良い結果を得られれば、勝ち癖をつけることもできる。




実行強者企業となるための課題と解決策


実行強者企業へと舵を切ることには総論賛成も、実際に実行強者企業へどのように進化していけばよいか?

TS&Coは、以下のような実行強者企業となるための課題と解決策を実行することで、実行強者企業へと進化できると考えている。


現環境及び実行の真価に対する全社的な共通認識の醸成

現在の企業経営を取り巻く環境下においては実行強者企業へと舵を切ることが得策であることや実行の真価を、CEOをはじめとするリーダーだけが認識していても意味はない。現場組織の1人1人が、共通認識として自分事化している状態となり、初めて意味がある。そのために、後述する各課題への対応が必要だ。


実行重視型組織文化への変革を企図した企業理念及び人事制度変革

多くの場合、実行重視型の組織文化を持つ企業では、経営者が紡ぎ出した力強い価値観や行動指針とその企業理念に最適化された人事制度がセットで存在する。

例えば、実行し結果を出した人を高く評価する、特定のマイルストーンやKPIの達成と紐づけたインセンティブ(業績連動報酬やストック・オプション等。もう少しカジュアルな施策としては、社長との豪華食事会等も想定される)を人事制度として設計する等が該当する。


意志決定・モニタリング機能の変革

意思決定機能は、起案者側の課題と意思決定者側の問題を分けて考える必要がある。

起案者側の工夫としては、例えば、意思決定者が意思決定しやすいよう起案書のフォーマット化や特定事案の検討項目・基準の型化(投資案件の投資基準等が代表的)、キーマンへの事前説明と合意形成等が考えられる。

意思決定者側の工夫としては、例えば、そもそも重要意思決定機関のメンバーが期待されるテーマに関する適切な議論ができ正しい意思決定に貢献できるメンバーなのかの再考等が考えられる。

モニタリング機能は、頻度、評価・管理者、管理機関(主要事業等の責任者が一堂に介した社長会等)と運営方法(事業当事者を話者に参加者との積極的・活発な議論がなされる等)、モニタリング用資料等に工夫が必要だ。


実行重視型リーダーの抜擢と育成

現場組織からのボトムアップ型の突き上げが、実行強者企業には必要不可欠である。

例えば、各部門において、実行力に長けているのではないか?と評価できる人材を思い切ってリーダーに抜擢し、任せ、育成していくアプローチが有効だ。


CEOの率先垂範

これまで述べた課題を解決することは、間違いなく重要だ。しかしながら、結局のところ、CEOによる強いリーダーシップが無かりせば、実行不全企業が実行強者企業へと進化する可能性は極めて低いだろう。

CEOの率先垂範に勝る施策はない。


TS&Co.は今後も、実行不全企業の実行強者企業への進化、実行強者企業のさらに強者への進化を支援する信用・信頼できるパートナーでありたい。



著者

澤 拓磨(さわ たくま)

TS&Co.グループホールディングス株式会社 代表取締役 創業者CEO

TS&Co.株式会社 代表取締役

経営変革プロフェッショナル


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