top of page

経営変革型経営と真説・仮説

  • 澤拓磨 TS&Co.代表取締役 兼 最高経営責任者(CEO)
  • 4月12日
  • 読了時間: 5分


概要

  • 経営変革型経営とは「経営変革(経営を変え異次元の結果を実現)を企図した経営」。異次元の結果を企図していることから、既存の成り行きや延長線上にある結果を企図した経営とは一線を画す

  • 真説とは「現時点の真実の答え」。CEOは、経営の最終結果責任を享受し約束した結果を出すべく、経営全般をスコープに真説を持ち経営していることが一般的であり、真説創りはCEOが職務を全うするために欠かせない

  • 仮説とは「現時点の仮の答え」。仮説も真説同様、経営全般をスコープに思考され、仮説創りはCEOが職務を全うするために欠かせない

  • 真説と仮説は、経営変革型経営を論じるうえで核となる

  • 経営変革型経営では、未来を見据えたCEOの意識に占める真説と仮説の割合を20%・80%とすることが好ましい。CEOの真説と仮説に対する意識変革が、経営変革型経営の本質

  • 経営変革型経営に移行するための要諦は「CEOの意志」、「10倍目標の設定」、「経営の基本の圧倒的実践」の3つ。最も重要なのは、CEOが自らの意志で経営変革型経営への移行を望んでいること




経営変革型経営・真説・仮説


昨今、AI経営、脱炭素経営、サステナビリティ経営、M&A経営、人的資本経営、資本コスト経営、企業価値最大化経営(こちらより詳細をご確認頂けます)、スタートアップ経営等、様々な経営法が議論されている。

本論考では、新規軸として、経営変革型経営について紹介したい。


はじめに、経営変革型経営とは何か、経営変革型経営を論じるうえで核となる真説と仮説について整理しよう。


経営変革型経営

経営変革型経営とは「経営変革(経営を変え異次元の結果を実現)を企図した経営」だ。

異次元の結果を企図していることから、既存の成り行きや延長線上にある結果を企図した経営とは一線を画す。

日本企業のCEOにとって、あまり馴染みのない経営法だろう。しかしながら、CEOであるならば、誰もが一度は夢見る経営法ではないだろうか。


真説

真説とは「現時点の真実の答え」だ。CEOは、経営の最終結果責任を享受し約束した結果を出すべく、経営全般をスコープに真説を持ち経営していることが一般的であり、真説創りはCEOが職務を全うするために欠かせない。

当然個人差はあるが、多くの未来を見据えたCEOの意識の60~80%程度は、真説に向いているのではないかと考えている。


仮説

仮説とは「現時点の仮の答え」だ。仮説も真説同様、経営全般をスコープに思考され、仮説創りはCEOが職務を全うするために欠かせない。

多くの未来を見据えたCEOの意識の20~40%程度は、仮説に向いているのではないかと考えている。

仮説は、多くのCEOにとって比較的馴染みのある概念ではないだろうか。




経営変革型経営における真説と仮説の理想的割合


真説と仮説が、経営変革型経営を論じるうえで核となると述べた。

その理由は、経営変革型経営は、未来を見据えたCEOの意識に占める真説と仮説の割合を意図的に変化させる必要があるためである。


結論から述べると、真説20%・仮説80%の割合が好ましいとTS&Co.は考えている。


真説に基づく経営は、蓋然性が高く、LBOローンを借り入れコベナンツ(財務制限条項)に抵触しないよう安定CFの創出が大前提とされるPEファンド投資先企業や短期(四半期)の業績責任を果たすことを最優先とする上場企業等に適した経営である。

しかしながら、経営変革型経営は、蓋然性を確保しながら異次元の結果をも企図する経営法だ。従って、経営変革型経営は、仮説に基づく経営となる。具体的には、真説20%・仮説80%の意識のもと、常にパフォーマンス最大化を企図し、リスクを予見しながら仮説検証(真説と仮説のアップデート)を高速で進めていくのである。


このCEOの真説と仮説に対する意識変革が、経営変革型経営の本質と言えるだろう。




経営変革型経営に移行するための要諦


最後に、具体的に、経営変革型経営にどのように移行すればよいのか。移行時の要諦についてTS&Co.の考えを述べたい。


CEOの意志

経営変革型経営に移行するために最も重要なのは、CEOが自らの意志で経営変革型経営への移行を望んでいることだ。

多くの場合、特に日本企業においては、ステークホルダーが起点となり経営変革型経営への移行が望まれることはない。従って、経営変革型経営への移行に対しリーダーシップを発揮できるのは、CEOだけである。

CEOは、本当に自らの意志で経営変革型経営への移行を望まれているだろうか?


10倍目標の設定

では、具体的にどのように経営変革型経営へ移行していくか?

その出発点は、目標設定となる。それも、例えば、既存定量パフォーマンス(売上高・売上総利益/粗利・EBITDA・営業利益・経常利益・当期純利益・時価総額等)の10倍を企図した10倍目標の設定だ。

結果は原因により生じ、原因は実行で構成される。そして、実行は戦略に基づき、戦略は理想と現実のギャップを埋める優先順位づけされた行動集である。つまり、理想とする目標の設定から全てがはじまるのだ。


経営の基本の圧倒的実践

10倍目標は奇策や魔法、テクノロジーにより実現されるのではなく、経営の基本の圧倒的実践により実現される。

経営の各プロセスは、本当に、他の追随を許さない現代考えうるベストプラクティスをベースに自社ならではの方法へと最適化し実践できているだろうか?

思考だけにとどまらず、グッドリスクを取り、集中的に実行できているだろうか?

経営の基本を圧倒的に実践できている企業はそう多くないはずだ。


経営変革型経営に移行することは、決して、全ての企業に求められていることではない。

しかしながら、もし自らの意志で経営変革型経営への移行を望むCEOがおられるのであれば、本論考が幾ばくかお役に立てたと確信している。



著者

澤 拓磨(さわ たくま)

TS&Co.グループホールディングス株式会社 代表取締役 創業者CEO

TS&Co.株式会社 代表取締役

経営変革プロフェッショナル


お問い合わせはこちら

関連記事

すべて表示
CEOの洞察力と企業の浮沈

概要 現代の経営環境において、特に重要となるのが洞察(インサイト) 洞察の価値は、考察、推察、判断、決断、明示・示唆といった関連用語と共にみていくと理解しやすい 現代の経営環境で洞察を理由に差が生じうるのは、「顧客・自社・競合間の情報の非対称性が低下し、経験・現実・熟慮から...

 
 
危機に飛躍か低迷か

概要 危機とは、未来に悪い結果をもたらす可能性が高い状況を指す 経営は常に認識しているか認識していないかに関わらず、大小様々な危機と対峙しており、CEOは危機への対応を無視することはできない 危機に飛躍するためにCEOが発揮すべき有事のリーダーシップの要諦は、「好機に危機へ...

 
 
実行の再考

概要 昨今、地政学的リスクの高まりやSNSの進展、AIの社会実装加速を背景に、企業経営を取り巻く環境は益々変化のスピードを加速させており、実行不全企業と実行強者企業に二極化する傾向が強まっている 現在の企業経営を取り巻く環境下は、実行不全企業に厳しく、実行強者企業に優しい。...

 
 

© TS&Co. Corporation All Rights Reserved.

bottom of page